アーユルヴェーダの台所|塩の選び方と使い方のヒント

AYURVEDA

これまで、アーユルヴェーダの食事にまつわる献立の立て方や基本となるオイルとスパイスや日本人の食卓にも取り入れやすいスパイスの紹介をしてきました。
こちらの記事では料理の味付けに欠かせない塩について紹介していきます。

塩について

アーユルヴェーダでは、塩味は6つの味(六味)のひとつです。
料理の味を引き締め、素材の味を引き出す、毎日の食事に欠かせない調味料です。
日本でも、料理の加減や味付けを表す「塩梅(あんばい)」という言葉があるように、塩は古くから食卓に欠かせない存在でした。

一方で、塩に含まれるナトリウムは体に必要なミネラルである反面、摂りすぎは血圧など健康への影響につながることが知られています。とはいえ、必要量は個人差があり、単純に「少なければ少ないほどよい」とも言い切れません。
大切なのは、塩を極端に避けるのではなく、食事全体のバランスとご自身の体調や体質などを考えながら適切な量を使うことです。

アーユルヴェーダで考える塩

塩味には「温める」「重くする」「油性」などの性質があると考えられています。
また、塩味のヴィパーカ(消化後の味)は甘味、ヴィールヤ(体を温めたり冷やしたりする力)は温性とされます。
6つの味の中でも、塩味は特にヴァータを鎮める味とされています。塩味が持つ温性・油性・重性などの性質が、乾燥・冷たさ・軽さを特徴とするヴァータのバランスを整える方向に働くと考えられているためです。
一方で、塩味はピッタとカパを増加させる方向にも働きます。

ヴァータ:↓塩味はヴァータを鎮める
ピッタ:↑塩味はピッタを増加させる
カパ:↑塩味はカパを増加させる

そのため、ヴァータが優勢な人には塩味が助けになることがありますが、「ヴァータ体質なら塩をたくさん摂ればよい」ということではありません。
反対に、ピッタやカパが優勢だからといって、塩を完全に避ける必要があるわけでもありません。

アーユルヴェーダでは、ひとつの味だけで食事を判断するのではなく、その人の体質や体調、季節、活動量、食事全体のバランスなどを含めて考えます。
塩味も「摂る・摂らない」と一律に決めるのではなく、そのときの自分の状態に合わせて、適切な量を取り入れていくことが大切です。

どんな塩を選ぶ?

アーユルヴェーダでは、塩の中でもサインダヴァ・ラヴァナ(Saindhava Lavana)と呼ばれる岩塩が特に好まれています。
日本では海水から作られる塩が身近ですが、アーユルヴェーダでは塩の種類によって性質が異なると考えられており、伝統的には岩塩がすすめられてきました。
これらは、アーユルヴェーダが生まれたインドの食文化や地理的背景も関係しているように感じます。

私が学んだアーユルヴェーダでは、「海塩はむくみやすい」と学びました。
一方、現代の栄養学では、「岩塩だからむくまない」「海塩だからむくみやすい」というように、塩の種類だけで考えるのではなく、ナトリウムの摂取量など、さまざまな要因がむくみに関係すると考えられています。

私自身は、普段は岩塩を主に使用していますが、海塩を使うこともあります。
今のところ、海塩を使ったからといって、翌日に特にむくみを感じたということはありません。
もちろん、塩を過剰に摂取すれば、ナトリウムの摂りすぎによって体内の水分バランスに影響することはあると思いますが、塩の種類によって体への感じ方や反応に違いがあるのかどうかは、私自身も興味深く感じています。

塩の種類による体への作用については、まだ私自身も学びの途中です。
皆さんも、機会があれば岩塩と海塩を使い分けて、そのときの体調や体の変化を観察してみてください。
「こちらの塩を使ったときは、なんとなく体が軽く感じた」
「この塩の方が料理がおいしく感じた」など、ちょっとした変化でももし何か新しい気づきがあれば、ぜひ教えてください。

調理の中で使う

アーユルヴェーダでは、塩は単に塩味をつけるためだけではなく、食材の性質や消化にも関わるものとして考えられています。
塩味には、食材を柔らかくし、消化を助ける働きがあるとされているため、料理をするときには適量の塩を加えます。

私が学んだアーユルヴェーダでは、穀物を炊く際にも少量の塩を加えます。塩を加えることで穀物が水分を吸収しやすくなり、消化・吸収を助けると教わりました。

また、塩は調理後に単独で振りかけるのではなく、料理を作る段階で他の食材やスパイスと一緒に加えることがすすめられています。

これは、塩味を単独で強く感じるようにするのではなく、料理全体の味やスパイスと調和させながら、適量を取り入れるという考え方です。

毎日の料理では、塩を「最後に味を足すもの」としてだけではなく、食材やスパイスと一緒に調理するものとして意識してみるのもよいかもしれません。

自分に合った塩の量を考える

季節や体質だけでなく、その人の暮らし方やその日の過ごし方によっても変わるのではないかと私は思います。
例えば、室内でデスクワークをして過ごす人と、暑い日差しの中で体を動かして働く人では、汗をかく量も異なります。夏と冬でも、体の状態や必要とするものは変わります。
また、もともとの体質や体調によっても、食事との付き合い方は一人ひとり違います。

「ヴァータだから塩が必要」「ピッタが優勢だから塩は必要ない」というように、ドーシャだけで塩の量を決めるものでもありません。

大切なのは、自分の体質やそのときの体調、季節、活動量、食生活などを含めて、自分にとってのちょうどよい量を探っていくことだと思います。

「今日はいつもより汗をかいたな」「この時期は体が重く感じるな」など、日々の小さな変化に気づきながら食事を調整していくことも、アーユルヴェーダを楽しみのひとつだと思います。

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