アーユルヴェーダの基本スパイス
アーユルヴェーダでは、スパイスは単なる料理の風味づけではなく、食材の消化を助け、心身のバランスを整える大切な存在として考えられてきました。
食事は、私たちの身体をつくるだけでなく、心やエネルギーにも影響を与えるもの。
毎日の料理に少量のスパイスを取り入れることは、自然の力を暮らしに取り入れる方法のひとつです。
この記事では、アーユルヴェーダの食事で特によく使われる基本の4つのスパイスをご紹介します。
それぞれの性質や特徴を知り、その日の体調や季節に合わせながら、自分の身体が心地よく感じる使い方を見つけてみてください。
アーユルヴェーダの基本のスパイス4つ
生の生姜
生の生姜は、アーユルヴェーダで古くから使われてきた代表的なスパイスです。
アグニ(消化の火)を刺激し、消化を助ける働きがあるとされ、食欲が落ちているときや、食後の胃の重さ、ガス、腹部の不快感、吐き気などに用いられてきました。
また、消化を整えることで、未消化物「アーマ」が溜まりにくい状態をサポートすると考えられています。
体を温める性質があり、冷えやヴァータ、カパを整えるのにも適しています。
乾燥生姜は、生の生姜より温める作用が強いとされています。ピッタが過剰なときや体に熱感があるときは摂りすぎに注意します。
食前にすりおろし、レモン果汁と塩を加えたアペタイザーとして食べてアグニを刺激したり、野菜の炒め物やスープ、日本人にも馴染みがあり使いやすいです。白湯に少量加えるのも手軽な取り入れ方のひとつです。
ターメリック(ウコン)
ターメリックもアーユルヴェーダで古くから用いられてきた代表的なスパイスです。
アグニを整え、特にタンパク質の消化を助けるとされます。
また、心・血液・皮膚を浄化し、体の回復をサポートするスパイスとしても利用されてきました。
抗菌作用を持つことから「天然の抗生物質」と表現されることもあり、腸内環境を健やかに保つ働きも期待されています。
生のターメリックは3つのドーシャすべてに適するとされています。
日本では、なかなかスーパーなどで気軽に手に入れることは難しいですが、沖縄や九州などの農家さんから、冬期に取り寄せられることもあります。
乾燥させた粉末のターメリックは比較的手に入りやすいです。
乾燥させたものは温性・乾性・軽性の作用が強くなるため、使用する際は体質や体調と相談しながら少量から取り入れるのがおすすめです。
カレーやビリヤニ、ターメリックライス、炒め物、豆料理に加えて使います。
また、高価なサフランの代用としてパエリアに使われることもあります。
クミン
クミンは、アーユルヴェーダで消化を助けるスパイスとして古くから用いられてきました。アグニを整え、消化を促し、ガスやお腹の張りをすっきりさせ、消化の重さを感じるときに用いられてきました。
クミンの性質については、文献や流派によって「温性」「冷性」と異なる見解があります。
これは、消化を促す働きがありながら、体に過度な熱を生みにくいというクミンの特徴によるものとも考えられます。
消化力を高め、体内に滞ったものを動かすサポートは、温める性質によるものと考えられることが多いようです。
これらのことを踏まえて、クミンは3つのドーシャすべてに良いとされていますが、特にヴァータとカパのバランスを整えるのに適していると考えられます。
私個人としては、クミンは適量を使用する分には、温性でも冷性でもないように感じています。
インド料理や中東、メキシコ料理などのカレーやタコス、豆料理、炒め物などにも使えます。
コリアンダー
コリアンダーは、アーユルヴェーダで3つのドーシャすべてに適したスパイスとされています。
冷性の性質を持ちながら消化を助けるのが特徴で、ガスや腹部の膨満感を和らげ、消化を促す働きがあります。
穏やかな利尿作用があり、膀胱や尿路の調子を整えるためにも用いられてきました。
体内の余分な熱を冷ます働きがあるため、特にピッタが乱れているときにも取り入れやすいスパイスです。
炒め物などに加えるほか、爽やかな香りを生かした自家製ピクルスや、焼き菓子、種子を煮出してコリアンダーティーとして取り入れることもできます。
まとめ
スパイスは料理を美味しくするだけでなく、消化を助け、身体のバランスを整える大切な知恵として受け継がれてきました。
生姜、ターメリック、クミン、コリアンダーには、それぞれ異なる性質や特徴があります。
大切なのは「体に良いから取り入れる」のではなく、季節や体調、その日の自分の感覚に合わせて選ぶことと、食後にどのように感じるかです。
毎日の食事に少量のスパイスを取り入れながら、自分の身体が心地よく感じる食との付き合い方を見つけてみてください。
次の記事では、日本でも馴染みのあるスパイスについて紹介します。
