心の状態を知る
前の記事では、五大元素やドーシャを通して、私たちの「身体」の仕組みやバランスについて見てきました。
では、「心」や「意識」の状態は、どのように捉えればよいのでしょうか。
アーユルヴェーダやヨガでは、心の働きを理解するための概念として「トリグナ」があります。
トリグナは、私たちの思考や感情、行動の質に影響を与える3つの根本的なエネルギーです。
トリグナ(Triguna)とは?
サンスクリット語で、トリグナとは、Tri=3つ、Guna=性質・エネルギーを意味しています。
ヨガやアーユルヴェーダにおいて、私たちの身体的、精神的、感情的な状態に影響を与える自然の3つの根本的な性質です。

1、サットヴァ Sattva (純質):心が穏やかで調和が取れている状態。
純粋、調和、明晰、軽快、喜び、知性を表す性質。
2、ラジャスRajas(激質) :活力、過剰になるとイライラや執着を生む。
活動、情熱、欲求、怒り、動きを表す性質。
3、タマスTamas(鈍質) :休息に必要だが、過剰になると怠惰や鬱状態に繋がる
惰性、無知、闇、重さ、眠りを表す性質。
これらの3つの性質が私たちには備わっています。
トリグナを理解する
試験勉強を例にしてトリグナの性質をみてみましょう。
・ラジャス:「勉強しなきゃ!」と机に向かわせるエネルギーです。
(行動や、焦り、競争心も含む)
・タマス:眠る、休む、やる気が出ない状態
(怠けではなく、回復や安定の役割)
・サットヴァ:適切な休息があり無理なく集中でき理解が深まる。効率よく学べる状態
(冷静さ、バランス)
ラジャスの過多:焦りや不安、過労
タマスの過多:無気力、停滞
ラジャスのエネルギーだけでは続けるのは難しく、タマスがないと身体の回復ができません。
ラジャスという原動力になるエネルギーは必要ですが、それだけでは疲弊してしまいます。
また、タマスの休息のエネルギーがないと身体や脳を回復させることもできません。
サットヴァとはラジャスとタマスの2つのバランスが適切に合わさることで生まれる調和のエネルギーです。
サットヴァが優位になると、穏やかで持続可能なパフォーマンスにつながります。
また、サットヴァとは「頑張って作り出すもの」ではなく、ラジャスとタマスが調和したときに自然と現れてくる状態を表します。
ドーシャとの関係性
トリグナは、私たちの心や意識の働きに関わるエネルギーですが、
アーユルヴェーダではもう一つ、「身体の状態」を表すドーシャという重要な概念があります。
心のバランスがトリグナであるのに対し、ドーシャは身体のバランスを示しています。
この2つは別の概念でありながら、実際には深く関係し合い、互いに影響し合っています。
ヴァータとトリグナ

ヴァータ(風の性質)は、軽さ・動き・変化を司ります。
- ラジャスが高まると
→ 不安・焦り・思考の過剰(頭が休まらない状態) - タマスが高まると
→ 無気力・エネルギー低下・思考停止 - サットヴァが整うと
→ 直感が冴え、創造性が発揮される
ピッタとトリグナ

ピッタ(火の性質)は、消化・代謝・判断力を司ります。
- ラジャスが高まると
→ 怒り・競争心・完璧主義 - タマスが高まると
→ 無関心・燃え尽き・判断力の低下 - サットヴァが整うと
→ 明晰な判断力・冷静さ・知性
カパとトリグナ

カパ(水と土の性質)は、安定・維持・滋養を司ります。
- タマスが高まると
→ 停滞・執着・重さ(動けない状態) - ラジャスが高まると
→ 無理に動こうとして疲弊しやすい - サットヴァが整うと
→ 穏やかさ・思いやり・安定した心
トリグナとドーシャの本質的な違い
トリグナ:心・意識の質
ドーシャ:身体・生理機能の質
ドーシャの乱れは、トリグナの乱れとして現れやすいです。 トリグナが整うことで、ドーシャも自然と整いやすくなります。
まとめ
トリグナとドーシャは、それぞれ異なる視点から人の状態を捉えていますが、どちらも「バランス」が鍵となります。
ラジャスは行動の力、タマスは休息と安定の力。
そしてそのバランスの上に、サットヴァという調和が生まれます。
無理に何かを排除するのではなく、それぞれの性質を理解し、適切に活かすことが、アーユルヴェーダにおける自然で持続可能な健康へのアプローチです。
